テレゴニーは感応遺伝や先夫遺伝子といわれ、古来から信じられてきた説でした。にわかに信じがたい話ですが、遺伝学分野で研究も進められ状況が変わり始めています。
実際、過去に起きた実例があり今後私たちの身にも起きる可能性が出てくるかもしれません。
今回は「テレゴニー」の概要と歴史的背景や実例を交えながらご紹介していきます。
テレゴニーとは
テレゴニー(telegony)とは、ある雌が以前ある雄と交わり、その後その雌と別の雄との間に生んだ子に、前の雄の特徴が遺伝する、という説や理論のことであり、人においては未亡人や再婚した女性の子は先の夫の性質を帯びる、という説である。
(引用:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
テレゴニーは古代の頃から提唱されている説であり、特に畜産家に信じられていました。
しかし人類においては、十分たる根拠がなく曖昧だとされていました。
テレゴニーの定義
先にご紹介したテレゴニーの概要に基づくと、過去に男性と性交経験がある女性が、別の男性との間に子どもを作った場合、子の父親ではないかつての性交相手の特徴が子に遺伝するという理論が成り立ちます。
たとえば再婚後に現在の夫との間に生まれた子供の容姿や性格が、血の繋がりもないはずの前の夫に似るという考え方です。
きちんと節度を持っていればありえない話ですが、テレゴニー説には歴史的背景もあります。
テレゴニーの歴史
テレゴニーを唱えたのは、かの有名な哲学者アリストテレスです。
人間におけるテレゴニーは古来、広く信じられており、男性が交際相手に処女性を求める根拠の一つとして挙げられることもあった。
(引用:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
彼が提唱したこの理論は幅広く受け入れられ、中世ヨーロッパの学者たちがアリストテレスを再評価するにつれて理論も復活しました。
そもそもギリシャ神話にはテレゴニー説が存在しているよう。神話に登場する英雄たちは父親が2人いて1人は神でもうひとりは人間、というのはよくある話だったのだとか。
例えばテセウスは人間や神の父を持ち、人間の王女アイトラーと人間の王アイゲウス、そして海の神ポセイドンと3人の親の血を継いで描かれています。
テレゴニーの実例から真相を解説
テレゴニーの定義や歴史的背景がわかったところで実例をご紹介します。
フィリポによる福音書
テレゴニーの説は古代から中世まで定説とされていました。
14世紀のイギリスでもこの考え方を根拠に結婚経験のある女性と国王との結婚に反対する意見が巡っていたようです。
実際精神的な理論づけとして「フィリポによる福音書」では下記のような一説が記載されています。
女が誰を愛そうとも、生まれてくる子はその相手に似る。仮に相手が夫ならば子も夫に似、姦夫ならば姦夫に似る。ある女が夫と共に寝ているとき、その女の心は常習的に交わっている姦夫のところにあるというのはたびたびある。女は愛する男の子を生むのだから、子は姦夫に似るのだ”
引用:フィリポによる福音書
この精神論が当てはまるなら、女性が愛する男性以外の憧れる男性や推しの男性を思うだけで生まれてくる子供が似てくるということになりますね。
モートン卿の牝馬
19世紀に最も信じられていたテレゴニー説の実例で有名なのが「モートン卿の牝馬」。
モートン卿は白い牝馬と野生のクアッガの種牡馬を飼育していた。その後同じ牝馬と別の種牡馬を飼育したところ、奇妙なことに子の足にはクアッガのような縞模様があったそう。
1890年代まで科学的な証明ができなかったようで、現在は対立遺伝子を用いて遺伝学的にテレゴニーであることが合致できるでしょう。
ハエの交配
ニューサウスウェールズ大学のグループはテレゴニーに類似の現象を初めてハエで発見しました。その結果は2013年のリスボンで行われた第14回ヨーロッパ進化生物学会で発表されました。
ハエの子供の大きさは母親が最初に交尾した相手によって決まる可能性がある。たとえその相手が父親でなくてもこの奇妙な進化は精子に含まれる謎の化合物によって引き起こされているそう。
研究に参加した進化生態学者のアンジェラ・クリーン(Angela Crean)氏は、「予想すらしなかった不思議な進化だ」と話す。
研究内容の詳細
一般的な原理のとおりハエも卵子と精子が合致した上で新しい生命が引き継がれる。ハエの場合、精子が子供の大きさを左右する。
研究チームはいずれかのオスとメスを交尾させ、産卵する場所がない状態をつくった。ハエの卵子は産卵するまで受精しない。つまり、メスは子供をつくることなく複数のオスと交尾できるということ。
2週間後、クリーン氏らはメスを2週間後、クリーン氏らはメスを別のオスと交尾させ、今度は産卵できる環境を用意した。すると、まず小さな オスの精液を受け入れた後に大きなオスの子供を産んだ場合、子供は小さなオスに似ていた。逆の状況でも結果は同じだった。
どんな現象がハエに起きているのかまだ研究中ですが、テレゴニーの概念と一致といえるでしょう。
分子生物学的メカニズム
テレゴニーは分子生物学的メカニズムといわれます。
分子生物学的メカニズムとは
分子生物学的メカニズムとは精子による女性生殖器内の体細胞へ精子が侵入すること、妊娠による胎児の細胞を経由しDNAの結合、無細胞胎児DNA、精子から放出されたDNAの母体体細胞への取り込み、母体血中に存在する胎児のDNAによる影響、非メンデル遺伝などを指す。
実際にスタンフォード大学のレオナルド・ハーゼンバーグ教授は1979年に胎児のDNAが妊娠によって母親の胎内に残る事を最初に証明し、フレッド・ハッチンソン癌研究センターは2012年に胎児のDNAが脳関門を通過し、母親の脳内に残る事が珍しくない事を明らかにしています。
同じ年にレイデン大学医療センターは以前の妊娠で母親の体に入った胎児のDNAが年下の兄弟の中にも入る事を指摘し、多くの研究所でテレゴニーの信憑性が高まっている状況です。
テレゴニーか?ネットの体験談を紹介
実際にテレゴニーを体験している人はいるのでしょうか。ネットで見つけた奇妙な体験談を3つご紹介します。
元カレにそっくりな夫の子ども
生まれた子供が元彼と瓜二つで周りから疑われたのでDNA検査をしたところ元彼ではなく99%夫の子だと出ました。
でも誰が見ても顔は元彼にそっくりなのです。そんなことあり得ますか?
(引用:Yahoo!知恵袋)
この質問に対して回答者は、質問者の思い込みからそう見えるだけだと伝えています。
大人になってから性格や顔に出てきたら驚きの事実ですが、乳児の頃はどの子も似たような顔をしているのが事実かなと思います。
テレゴニーを信じているから夫以外とSEXしたくない
結婚する人以外とセックスしたくないのですがこれはおかしいですか?
18歳の女です。最近彼氏が出来ました。1歳年上の大学生で優しくて大好きなのですが、セックスはしたくないです。
理由としては性病が怖いからと、望まない妊娠が怖いのと、テレゴニーを信じているからです。
性病に関しては特に子宮頸がんは男側がウイルスを保有していたらコンドームをしていても感染するという話を聞いたらとても怖くなりました…。
それに私はまだ学生なのでこんな時期に妊娠したら大学に居づらくなりそうだし、妊娠したら就職も難しくなりそうなので。。(ゴム付けても避妊は100%では無いと聞いたので)
あと1番怖いのはテレゴニーです。昔関係を持った男の遺伝子が子供に影響するという話なのですが、それが本当だとしたら結婚する夫に申し訳ないし、昔の男の遺伝子を受け継いだ子供を育てるなんて私が一番嫌なので。。。
彼氏はとても優しいですが、若いので一番セックスしたい時期だと思います。セックスしたあとに捨てられたらと思うととても怖いです。。
何回か誘われてはいるのですが、全部断ってしまっています。
彼のために別れた方がいいでしょうか?
(引用:Yahoo!知恵袋)
このようにテレゴニーを信じている若い女性もいるようです。
結婚をしたいと思えるような男性を早く見つけることが得策かなと個人的に思います。
友人の子どもが黒人っぽい…
知人(日本人)の子供が黒人っぽいのですが、突然変異でしょうか?
知人(男性)は「前、黒人と付き合っていて、一回おろしたらしい」と言っていました。
これはどういうことでしょうか?
妊娠経験のある女性は、前の妊娠の時の遺伝子を引き継ぐのでしょうか?
例えば、前回は、黒人の男性との間に子供を産んで、
今回は白人の男性の子供を妊娠した場合、出産する子供は黒人の遺伝子を引き継いで黒っぽい子供が生まれてくるのは本当でしょうか?
(引用:Yahoo!知恵袋)
この質問に対して回答者はテレゴニーの可能性があると伝えています。
このように見ていくと女性のなかに男性の遺伝子がずっと残るのは不利なことだなと個人的に思います。
100%真実ではありませんが、本気で愛する男性を早い段階で見つけたいところですね。
テレゴニーに関するよくある質問
テレゴニーに関するよくある疑問や質問を3つ紹介します。
テレゴニーって本当に起きるの?
本記事にてご紹介したようにテレゴニーの実例や可能性を秘めたケースをご紹介しました。
しかし現状、テレゴニーに関するメカニズムを解明するにはまだ科学知識や検証が必要と思われます。
テレゴニーはどうなったらわかる?
現状、産むまではわからないでしょう。
確かなことは、テレゴニーが本当だとすれば女性が過去に肉体関係を持ったことで遺伝子が体内に吸収されるということ。
だから今でも男性は結婚する時に女性に対して処女性を求めるのかもしれません。
テレゴニーとスピリチュアルの関係は?
スピリチュアル好きの人間としてはテレゴニーとの関係性を疑いたくなりますが、実際のところまだ不透明です。
スピリチュアル的な観点からすれば、愛する人との行為はオーラやエネルギーの交換を表します。
もしこれが不倫など歪んだ愛の行為であればお互いのエネルギーを下げかねることになるでしょう。
テレゴニーはあなたの身にも起こるかもしれません
これまで見てきたようにテレゴニーは100%起きないと言い切れないのが現状です。もしかすると恋愛経験が豊富な方だと起こる可能性がなきにしもあらず…。
少々恐いですがテレゴニーに関してはまだ研究段階なので詳しいことはわかりません。
テレゴニーに関して新たな情報を待つ一方で、男女関係は節度を持って過ごすことが良いでしょう。